「知ってますか?認知症」

第5回 認知症とはーその1

公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事・神奈川県支部代表      川崎幸クリニック院長 杉山孝博

認知症について深い関心をもっているオレンジパートナーの皆さんは認知症に関する基本的な知識をお持ちだと思います。私は、「知ってますか?認知症」のシリーズを続けていくためには、認知症の医学的な知識を確認し、共有することが必要であると思っていますので、「認知症とは」というテーマで、「認知症の概念」「認知症の症状」「認知症の原因」「治療法」などについて、4回にわたって取り上げたいと思います。

1.認知症とは

認知症は、「記憶力・認識力・判断力・推理力などの知的機能が低下して、社会生活や日常生活に支障をきたす状態」ということができます。つまり、自立した生活ができていた人が、物忘れがひどくなり、適切な判断力、推理力などの知的機能が低下したため、周囲に迷惑を起こす言動が出てきて見守りや援助が必要になった状態です。

2.中核症状と行動・心理症状(BPSD)

 認知症の症状は、脳の神経細胞そのものの働きが低下して起こる中核症状と、中核症状が基本となって性格、体験、環境など絡みあって発生する行動・心理症状(BPSD。周辺症状ともいう)があります。中核症状は、記憶障害、理解・判断力の低下、見当識障害(時間・場所・人物が分からない)、実行機能障害(段取りよく行動できない)などがあって、程度の差はそれぞれですが、全ての認知症の人にいずれかの症状がみられます。周辺症状は、多弁・多動、暴言・暴力、失禁・弄便(ろうべん)、徘徊、食行動異常(異食・過食・拒食)、昼夜逆転、幻覚・妄想、性的異常、抑うつ、不安・焦燥、興奮、せん妄などがあります。このような周辺症状は認知症の人全てにみられるのではありませんが、環境の変化や認知症の進行によってしばしばみられるものです。そして、認知症の人の介護者をよく悩ませるのがこれらの症状です。

3.認知症の原因~一次的要因と二次的要因~

認知症はひとつの病気ではなく、症状の集まりですから、認知症の原因となる疾患はたくさんあります。認知症の原因には、脳そのものの病変による一次的要因と、脳以外の身体的、精神的ストレスによる二次的要因があります。

一次的要因には、脳萎縮性変化(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など)、血管性変化(血管性認知症)、内分泌・代謝性・中毒性……

※この記事の全文はホームページ上部の「活動紹介・インタビュー・提言」コーナーでご覧ください

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