「知ってますか?認知症」

第2回 認知症の人の思いを知るーその1

公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事・神奈川県支部代表 

川崎幸クリニック院長 杉山孝博

どのような社会活動に取り組むにしても、当事者の思い・希望・苦悩・立場などを活動に関わる者がしっかり受け止め、理解し、共有しなければ社会的に有意義な活動にならないと思います。今回と次回の2回にわたって、認知症の人の思いについて考えてみましょう。

 認知症とは、「記憶力・認識力・判断力・推理力などの知的機能が低下して、社会生活や日常生活に支障をきたす状態」と定義できますが、認知症と診断されても何もかも分からなくなるわけではありません。喜怒哀楽の感情も、プライドも持っています(「ぼけても心は生きている!」)。また、認知症の人の中には、社会生活や家庭生活がほとんど支障なく出来ている人もいれば、激しい症状を示している人も、寝たきりになっている人もいます。

2004年および2017年京都で開催された、国際アルツハイマー病協会国際会議・京都(国際アルツハイマー病協会、認知症の人と家族の会主催)では、認知症本人の発言や行動が大きな注目を集めました。2004年では越智俊二さんが、2017年では丹野智文さん、クリスティーン・ブライデンなど多数の本人が発現し、分科会の運営を本人たちが行いました。日本で開催された2つの国際会議は、認知症の人の理解に大きな影響を与えました。2004年ADI国際会議における越智俊二さん(57歳)の発言は大きな感動を与えました。

越智俊二さん

「「私は57歳です。もの忘れの病気になりずいぶん苦しんだ時期がありました。今、病気になっても以前と変わらない生活ができています。(中略)私をここまで支えてくれたのはやはり家族です。(中略)病気になったことで私は、家族のすばらしさがわかりました。(中略)家族やまわりの皆さん、この病気はもの忘れだけです。もの忘れのほかは、何ともありません。もの忘れがあっても、いろいろなことができます。考えることもできます。あきらめずに生きていけるように、安心して普通に暮らしていけるように手助けをしてください。」

2017年ADI国際会議では、若年性認知症の丹野智文さん(43歳)の発言は、ともすれば保護の対象と考えられていた認知症の人が、自らの思いを発言できる能動的な存在であることを社会へ示したことで大きなインパクトを与えました。

「“認知症になったら終わり”ではない。認知症と共に生きる道がある。今まで認知症の人は“何もできないので守らなければ”と思われていた。でも昨年スコットランドに行き、自分のことを自分でやろうとしている認知症の当事者たちと出会った。日本はまだ守られていると感じる。認知症が進行しても、工夫して自分のことができれば、自信が持てるようになる。認知症になっても住みよい街づくりを進めなければならない。」

丹野智文さん

Follow me!