認知症本人の手作りオレンジランプ・ライトアップ(大和市立図書館)

認知症の本人が作ったランプシェード

「認知症の方は無言で、集中して(ランプシェードを)作っていて、(完成後に)初めて作ったがとても楽しかったと話していました」そう語るのは大和市立図書館健康コーナー(大和市文化創造拠点シリウス内)の鎌田利恵さん。2021年度から大和市立図書館が始めた世界アルツハイマー月間(9月1日~30日)に展示する小さなオレンジ色のランプシェード作り(8月開催)に、今年度は市民とともに認知症の本人、小学生、認知症施策担当の同市人生100年推進課職員らが参加した。認知症の本人は80歳代の女性と60歳代の男性。風船に白い和紙を張り、その上に接着剤を塗り更に和紙を張っていくという手間のかかる作業にもかかわらず、モノ作りが好きな2人は誰の手も借りず時間内にランプシェードを作り上げた。また家族が福祉施設に入所している参加者からは、「ホームで作ってみたい。来年はシリウス全体にオレンジ色のランプシェードを置けるといいですね」と話したという。世界アルツハイマー月間の期間中、シリウス内の大和市立図書館と同市立渋谷図書館、中央林間図書館では小さなオレンジライトが点灯し続ける。

「今年は参加者にオレンジ色のランプシェードを作る意義など認知症啓発の話をしました。これからは市内の他の施設や街角に置いて年間通じてライトアップを行い、これが認知症啓発のランプだと知って優しい気持ちになってもらい、小さな灯りが少しずつ広がって大きな輪になればいいなと思います」「オレンジパートナーの皆さんの(ランプシェード作成手伝い他)ボランティア参加は大歓迎です」今後の活動を見据えて鎌田さんはそう話した。     2022年9月20日記事公開(水越)

※この件に関する問い合わせは大和市立図書館健康コーナー 電話046-263-0211

オレンジパートナーからの投稿写真(9月25日現在のライトアップ状況)

「知ってますか?認知症」

第5回 認知症とはーその1

公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事・神奈川県支部代表      川崎幸クリニック院長 杉山孝博

認知症について深い関心をもっているオレンジパートナーの皆さんは認知症に関する基本的な知識をお持ちだと思います。私は、「知ってますか?認知症」のシリーズを続けていくためには、認知症の医学的な知識を確認し、共有することが必要であると思っていますので、「認知症とは」というテーマで、「認知症の概念」「認知症の症状」「認知症の原因」「治療法」などについて、4回にわたって取り上げたいと思います。

1.認知症とは

認知症は、「記憶力・認識力・判断力・推理力などの知的機能が低下して、社会生活や日常生活に支障をきたす状態」ということができます。つまり、自立した生活ができていた人が、物忘れがひどくなり、適切な判断力、推理力などの知的機能が低下したため、周囲に迷惑を起こす言動が出てきて見守りや援助が必要になった状態です。

2.中核症状と行動・心理症状(BPSD)

 認知症の症状は、脳の神経細胞そのものの働きが低下して起こる中核症状と、中核症状が基本となって性格、体験、環境など絡みあって発生する行動・心理症状(BPSD。周辺症状ともいう)があります。中核症状は、記憶障害、理解・判断力の低下、見当識障害(時間・場所・人物が分からない)、実行機能障害(段取りよく行動できない)などがあって、程度の差はそれぞれですが、全ての認知症の人にいずれかの症状がみられます。周辺症状は、多弁・多動、暴言・暴力、失禁・弄便ろうべん、徘徊、食行動異常(異食・過食・拒食)、昼夜逆転、幻覚・妄想、性的異常、抑うつ、不安・焦燥、興奮、せん妄などがあります。このような周辺症状は認知症の人全てにみられるのではありませんが、環境の変化や認知症の進行によってしばしばみられるものです。そして、認知症の人の介護者をよく悩ませるのがこれらの症状です。

3.認知症の原因~一次的要因と二次的要因~

認知症はひとつの病気ではなく、症状の集まりですから、認知症の原因となる疾患はたくさんあります。認知症の原因には、脳そのものの病変による一次的要因と、脳以外の身体的、精神的ストレスによる二次的要因があります。

一次的要因には、脳萎縮性変化(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症など)、血管性変化(血管性認知症)、内分泌・代謝性・中毒性疾患(甲状腺機能低下症、アルコール性認知症など)、感染性疾患(クロイツフェルト・ヤコブ病、脳梅毒による進行麻痺)、手術による効果が期待できる正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍といった疾患があります。

二次的要因には、環境の変化や人間関係、不安、抑うつ、混乱、身体的苦痛などがあります。入院や転居といった環境の変化で認知症が出現することや、骨折や貧血など体の変化により認知症がひどくなることがよくあります。入院や転居といった環境の変化により認知症が出現することや、骨折や貧血など身体の変化により認知症がひどくなることがよくあります。配偶者の死や定年退職をきっかけに認知症が始まった例も少なくありません。家では軽いもの忘れ程度の人が、骨折などで入院すると、翌日からナースコールを何回も押してナースを呼び、院内徘徊をするようになり、時にはギブスを外して骨折している足で歩いてしまうことは決して珍しいことではありません。骨折したからといって脳神経細胞の数や機能が落ちるわけでもありません。骨折による身体的な苦痛、入院による環境の変化に対する不安感、家族の姿が見えず見知らぬ人が自分を抑えつけたり針を刺したりする恐怖感など、2次的要因によって認知症の症状が悪化したのです。骨折が治って歩けるようになり、退院して自宅に帰ることができると、認知症の症状がおさまって、以前とほぼ同じ状態まで改善します。

二次的要因を見つけて適切な対策をとるのが認知症介護では実は最も重要で有効な方法なのです。

 2022年4月19日記事公開

「知ってますか?認知症」

第4回 認知症の人の思いを知るーその3

公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事・神奈川県支部代表   川崎幸クリニック院長 杉山孝博 

*「お父さん、本当にありがとう。よく世話をしてくれてありがとう。本当にやさしいんだから。いろいろ心配かけてごめんなさいね。いつまでも元気でいてね」と。前後、支離滅裂な内容を言い続けていたのに、これが妻が私に言った最初で最後の正気の言葉となりました。(略)私は、この時、最後まで、妻をやさしく介護してやろうと決心しました。

もの忘れが進んでも、「(家族に)幸せになって欲しい」「(家族の)体を気遣う」「(家族に)感謝『ありがとう』」という気持ちは持ち続けています。

*痛いリハビリに抗議して「イヤ、イヤというたらイヤ!しないというたらしない。人がこれほどイヤと言うものを、皆は、何の権利があって無理強いするのか。その理由を言え。人権無視じゃあ」

リハビリや検査なども、その意味がわからない認知症の人にとっては、本人のためであっても辛いこといやなこと以外ではありません。スタッフは認知症の人の気持ちや性格を受け止めてサービスの提供を考えなければなりません。

*(特養ホームにて、ケアマネージャの質問に答えて)「ここはやさしいね。やさしくしてもらって感謝しているよ」と言いました。この義母の言葉を聞いた時、私は涙が止まりませんでした。(略)話す言葉も短くなってしまった義母が、果たして答えられるか疑問に思っていましたが「介護は技術ではない。やさしさである」と義母は教えてくれました。

本人が施設やサービスをしっかり評価していることもあります。家族が言いたくても言えないことを素直に表現します。

*車で移動中に紅葉を見て「すごくきれい」と何度も言った。今まで、あまり芸術面や、山などに興味を示さなかったのに、感動することが多くなった。

*孫娘が「じいじ、じいじ」と声をかけると、孫を見つめて「かわいいわ」と言ったのです。もう心の交流はできないのかと悲しく思っていたのに、この日の場面は忘れられません。

花や自然の景色に素直に感動できるのは、子どもの頃ではないでしょうか。大人になるに従って理知的な要素が混じってきて、素直な感動の渦が湧き上がるのを妨げてしまいます。子どもは感動した対象を、目で、手で、口で、鼻で、耳で、つまり全身で感じて、きれいな花が咲いていればお構いなく手に取って口に入れようとします。記憶力、理解力、推理力などの知的機能が低下した「二度童子(わらし)」である認知症の人も、子どもと同じように、自然や昔懐かしい風景に素直に感動しやすくなっているのではないかと思います。子どもとの違いは、乳幼児が植木鉢の花を摘んでもしかられないが、認知症の人の場合は「なぜこんなことをしたの」と強く非難される場合が多いという点でしょう。

*「あなたの笑顔はステキですね」と私の友人が訪ねてきた時に話した。母の精一杯の挨拶。相手に不快を与えないような心配りが感じられた。

*息子が亡くなってから、嫁の私に、面倒をみてもらうのがつらいと思っている。今まで、長い間、あたりまえのように振舞っていたのに。

 物忘れなどに混乱させられながらも、「まわりへの心配り」をしながら、認知症の人はあたりまえの生活を送っていることがわかります。

*「うちへ帰らしてもらいます。お母さんが体が弱いので、私がお炊事をしなければならんから」と言った。20代の頃、病弱な母を助けて、家事を取り仕切っていたらしい。その母を置いて恋愛結婚したと聞いたので,多分ずっと心にひっかかっていたのだろうと思った。

*「稲刈りをせんといかん」と言うので、田んぼまで行って、まだ穂が出ていないのを見て納得させたが、30分もしないうちに、また、「稲刈りをせんといかん」と言うので困った。説明や説得は役に立たない。何か他のことに考えが行くまで同じことを言っていた。

仕事や家事を必死にやってきた人にとって、なにもすることがないことは耐えられないことです。「記憶の逆行性喪失の特徴」により、子どもの頃や田舎に住んでいた時代に戻っていると考えれば、異常な言動ではありません。昔、本人が家族や仕事をどれほど大切に思っていたかがよく分かります。(「認知症の人の思いを知る」シリーズ了)       2022年4月19日記事公開

「知ってますか?認知症」
第3回 認知症の人の思いを知るーその2

公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事・神奈川県支部代表

               川崎幸クリニック院長 杉山孝博

 認知症の人と家族の会では、2002年に会員に対して「家族を通じてぼけの人の思いを知る調査」を実施しました。認知症の人の言葉を介護者がどのように感じたかを尋ねたところ、全国から624通の回答が寄せられました。

「認知症になったら、何も分からなくなり、できなくなる」「人間性が失われてしまう」「困った事ばかりする人だ」—―多くの人が持っていた認知症に対する、このようなイメージを大きく変える調査結果でした。もの忘れや判断力の低下があっても、普通の人と同じように、喜怒哀楽の感情も、相手への思いやりも、プライドも持っていることがよくわかりました。認知症になっても心は生きているのです。

オレンジパートナーの皆さんにもぜひ知っていただきたいと思います。

僕にはメロディがない 和音がない 響鳴がない

頭の中に いろんな音が 秩序を失って 騒音を立てる

メロディがほしい 愛のハーモニーがほしい

この音に響音するものはもう僕から去ってしまったのか

力がなくなってしまった僕はもう再び立ち上がれないのか

帰ってくれ僕の心よ 全ての思いの源よ

再び帰ってきてくれ あの美しい心の高鳴りはもう永遠に与えられないのだろうか

いろんなメロディがごっちゃになって気が狂いそうだ

苦しい 頭が痛い

 この文章は、福岡県の岩切健さんがアルツハイマー病発症2年後の55歳のころにかかれたものです。認知症が徐々に進行していることに対する不安な思いや混乱が見事に表現されています。「認知症と診断されたら、何もできなくなり、わからなくなる」「人間性も失われてしまう」と、多くの人は考えがちですが、決してそうではないことがこの文章からよくわかると思います。

夕方になるといつも泣き出していた。なぜ悲しいのかと聞くと、「こんなにバカになってしまって…」という言葉が返ってきた。また、近所に一緒に出かけると、人が通りかかると、もの陰に隠れようとしていた。「こんなにバカになった姿を他人に見られたくない」、そんな言葉が返ってきた。

本人の思いの中で、最も中心になるのが「物忘れ」です。一般に考えられている以上に、本人は物忘れなどを自覚しており、「(私は)呆けてしまった」「頭がおかしい」「だんだん進んでいく気がする」「何もできない」と感じています。

 「家族を通じてぼけの人の思いを知る調査」に、介護中、または看取った家族、624名からの回答がありました。その中から、本人の気持ちが記載されている部分を抽出したところ、473場面・出来事に上りました。本人自身におきている変化が記述されているのが、143ヶ所で、その中で、「物忘れに対する恐怖」に関する記載が最も多くて54ヶ所でした。

 物忘れによる不安・混乱が出てくると、「迷惑をかけたくない」「いらいらする」「調子が悪い」などという気持ちにつながってきます。

トイレに連れて行こうとしたが、少し便がゆるくなり、パンパースの中にしてしまいました。風呂で、主人も手伝ってくれ、きれいにふいていたところ、「○○ちゃん(主人のこと)、すまんのう」と言い、泣き出しそうな声でわびてくれ、介助している私も思わず涙ぐみました。感謝の念の強い父でした。

一方では、自分の「病気のことがもっと知りたい」と言う思いつながり、「自分の病気と付き合って」いこうとする努力に結びついています。

この頃、妻はノートによくメモをして話をしていた。必死で努力していたのだろう。

という記述にみられます。なんとなくほっとさせられます。

突然、妻が「おたく何処にお住まい?」「お子さんは何人?」と言い出した。聞かれたこちらは一瞬、頭が真っ白になり、「妻が狂った」と思いました。自分の顔を指さし、「お前の主人じゃないか」と言うと、「私の主人は、そんな年寄りじゃない」。妻の中では、完全に20代、30代の世界になっていたのでしょう。「では、前に座っているのは誰?」「判らないから聞いているじゃないの」。問答はここまで、もう妻が正常に戻る時間まで待つしかなかった。

私が工夫した「認知症をよく理解するための9大法則・1原則」の「第1法則 記憶障害に関する法則」の中で「記憶の逆行性喪失の特徴」とは、「蓄積されたこれまでの記憶が現在から過去にさかのぼって失われていく現象で、『その人にとっての現在』は、最後に残った記憶の時点になる」というものです。従って、このケースのように、家族に対しても、「誰だか分からない」「知らない人が家にいる」「別の誰かと間違える」ことが起こります。家族はとまどったり、嘆いたりした挙句、記憶を呼び戻そうと努力して、混乱に陥ることがしばしばです。そんなときには、この特徴を思い出して、ぼけの人の気持ちや置かれている世界を理解したいものです。  (続く)

    2022年1月31日記事公開

「知ってますか?認知症」
第2回 認知症の人の思いを知るーその1

公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事・神奈川県支部代表 

川崎幸クリニック院長 杉山孝博

どのような社会活動に取り組むにしても、当事者の思い・希望・苦悩・立場などを活動に関わる者がしっかり受け止め、理解し、共有しなければ社会的に有意義な活動にならないと思います。今回と次回の2回にわたって、認知症の人の思いについて考えてみましょう。

 認知症とは、「記憶力・認識力・判断力・推理力などの知的機能が低下して、社会生活や日常生活に支障をきたす状態」と定義できますが、認知症と診断されても何もかも分からなくなるわけではありません。喜怒哀楽の感情も、プライドも持っています(「ぼけても心は生きている!」)。また、認知症の人の中には、社会生活や家庭生活がほとんど支障なく出来ている人もいれば、激しい症状を示している人も、寝たきりになっている人もいます。

2004年および2017年京都で開催された、国際アルツハイマー病協会国際会議・京都(国際アルツハイマー病協会、認知症の人と家族の会主催)では、認知症本人の発言や行動が大きな注目を集めました。2004年では越智俊二さんが、2017年では丹野智文さん、クリスティーン・ブライデンなど多数の本人が発現し、分科会の運営を本人たちが行いました。日本で開催された2つの国際会議は、認知症の人の理解に大きな影響を与えました。2004年ADI国際会議における越智俊二さん(57歳)の発言は大きな感動を与えました。

越智俊二さん

「「私は57歳です。もの忘れの病気になりずいぶん苦しんだ時期がありました。今、病気になっても以前と変わらない生活ができています。(中略)私をここまで支えてくれたのはやはり家族です。(中略)病気になったことで私は、家族のすばらしさがわかりました。(中略)家族やまわりの皆さん、この病気はもの忘れだけです。もの忘れのほかは、何ともありません。もの忘れがあっても、いろいろなことができます。考えることもできます。あきらめずに生きていけるように、安心して普通に暮らしていけるように手助けをしてください。」

2017年ADI国際会議では、若年性認知症の丹野智文さん(43歳)の発言は、ともすれば保護の対象と考えられていた認知症の人が、自らの思いを発言できる能動的な存在であることを社会へ示したことで大きなインパクトを与えました。

「“認知症になったら終わり”ではない。認知症と共に生きる道がある。今まで認知症の人は“何もできないので守らなければ”と思われていた。でも昨年スコットランドに行き、自分のことを自分でやろうとしている認知症の当事者たちと出会った。日本はまだ守られていると感じる。認知症が進行しても、工夫して自分のことができれば、自信が持てるようになる。認知症になっても住みよい街づくりを進めなければならない。」

丹野智文さん

    2021年11月30日記事公開

楽しくて来てよかった!ボッチャ(伊勢原市)

伊勢原市提供

今夏の東京パラリンピック(8月24日~9月5日開催)で、金・銀・銅3つのメダルを獲得したボッチャ日本チーム。パラリンピック閉幕直後に伊勢原西部地域包括支援センターは、オレンジカフェでボッチャを行った。当初は雨の予備行事として、伊勢原市役所スポーツ担当課でボッチャ経験のある同センター長の小泉さんの発案だった。オレンジカフェ参加者に話をしたところ、認知症の本人、家族、サポートするオレンジパートナーからやりたいという声があがった。カフェ当日、参加したのは認知症の本人4名(うち2組は家族同伴)、軽度認知症の方8名、オレンジパートナー8名と同センタースタッフ。市から借りた正式なボッチャボールを使い熱戦が始まった。皆ボッチャは初めてだが、やってみると意外と簡単なスポーツで、「楽しくて来てよかった」「(判定の際はボールのそばまで集まり)負けると悔しい」と話す認知症の本人の表情は生き生きしていた。いっしょに競技をしたオレンジパートナーは後日、「自分たちが楽しいと思えることが、認知症の人や家族にも楽しんでもらえる」と話していたという。参加した他の包括支援センター職員は、自分達もボッチャを企画したいと話し、ボッチャは広がりを見せている。スタッフとして関わった伊勢原西部地域包括支援センターの山田さんは「肩に力を入れるのではなく、皆さんが気楽に参加できるオレンジカフェを今後とも開催していきたい」と話している。          2021年11月4日記事公開(水越)

※この件に関するお問い合わせは伊勢原西部地域包括支援センター 電話0463-95-2111

「知ってますか?認知症」
第1回 認知症の人が地域の人々とともに生きる地域をどうつくるか

公益社団法人認知症の人と家族の会副代表理事・神奈川県支部代表   

               川崎幸クリニック院長 杉山孝博

 私が認知症の人と家族の会にかかわって40年が経過しました。認知症に対する理解も支援も皆無であった40年前と較べると、現在は認知症の人および家族を取り巻く支援の輪は格段に充実してきました。

 その背景として、①認知症の人と家族の会などの当事者たちが実践を通して地道に社会にアピールしてきたこと ②2004年と2017年に京都国際会館で開催された国際アルツハイマー病協会国際会議(国際アルツハイマー病協会および認知症の人と家族の会主催)をきっかけとして、認知症の人本人が積極的に発言・行動するようになり、社会的な共感が得られたこと ③介護保険などのフォーマルな福祉サービスの充実や認知症サポーター養成などの社会的啓蒙活動が広がったこと ④「痴呆」から「認知症」に代わって受け入れやすくなったこと ⑤認知症治療薬の開発などを契機として医療の対象として認識されたこと、また認知症を診療する医療機関が各段に増えたこと ⑥そして何よりも認知症高齢者数700万人と言われるように、すべての人々が認知症を身近な問題としてとらえるようになったこと などをあげることができます。

にもかかわらず、認知症介護の大変さ・深刻さは、介護家族だけでなく、保健・医療・介護の専門職からも、行政職からも、地域住民からもいたるところで、マグマのように沸々と湧き上がっていると言えるかもしれません。

 その理由を考えると、①認知症の症状の理解が難しいこと(身体的な症状であれば経験的に理解できるが認知症の症状の理解はむずかしい) ②暴言・暴力・不穏・物盗られ妄想などのBPSDへの対応が困難であり、しかも医療・介護サービスの利用を断られること ③認知症の症状に対する医療的対応があまり有効でないこと ④発症から終末期まで介護の期間が長いこと ⑤一人暮らし、老々介護、認認介護、ヤングケアラーなど介護状況の厳しい現実があること ⑥多彩で、次々に変化する認知症の症状に対する適切な介護方法が確立していないこと ⑦医療と介護の問題に限らず、就労、経済的問題、遺伝、子供の養育・結婚、介護サービスの量的・質的不足などさまざまな問題をもっている若年性認知症の取り組みが不十分であること ⑧認知症の人が生活する地域においてその理解や寛容性がまだ脆弱であること などでしょうか。

 さて、本分科会のテーマである、「地域づくり」を考えてみたいと思います。

 基本は、認知症の正しい理解を深め偏見を除去すること、および認知症の人や家族が適切な介護を受けられ介護できる環境を一層整備することの2点です。

認知症の人は様々な能力を持ち、喜怒哀楽の感情をもち、周囲の人との交流を求めている人です。認知症と診断されたら「全て終わり!」ではありません。そのためには、地域住民が認知症の人やと家族と接する場をたくさん持つことが前提です。認知症カフェや「run伴」、本人家族交流会などの自発的な活動の場が広がっていくことが期待されます。

BPSDのため介護サービス利用ができなくなり最も困難な介護を家族に押し付けている現状があります。「介護地獄」とも称される状況が変わらない限り、認知症の人の地域生活はあり得ないと思います。難しい介護こそ専門職が引き受けるという、職業倫理に裏打ちされた専門職の奮起を期待したいと思います。

(2021年9月1日・2日に開催されたさわやか福祉財団主催「いきがい・助け合いサミットin神奈川」の分科会「認知症の人が地域の人々とともに生きる地域をどうつくるか」における杉山の発言要旨)       2021年10月28日記事公開

「ちいさなオレンジ色のライト」が認知症関連の本を優しく照らす(大和市立図書館)

手作りのライト(大和市立図書館提供)

全国最大級の座席数(約990席)と来館者数を誇る大和市立図書館(大和市文化創造拠点シリウス内)では、同市の中央林間図書館、渋谷図書館とともに世界アルツハイマー月間(9月1日~30日)の期間中、認知症に関する本の展示と今年度から初めてスタートしたオレンジ色のライトアップを行っています。世界アルツハイマーデーの9月21日に函館の五稜郭タワー、会津鶴ヶ城天守閣、姫路城など全国各地で大規模なライトアップが行われます。ここ大和市では小さなオレンジ色のランプシェードの灯りが、図書館内の机に置かれた認知症関連の絵本や漫画、認知症本人が書いた本、大和市の認知症への取り組みや市内団体の活動の資料を暖かく照らし出しています。オレンジライトの数は20日現在で11個。コロナ禍で参加人数が限られる中、8月に図書館が開催した認知症啓発を兼ねたランプシェード作成講座に参加した市民や、図書館職員の手作り作品です。「オレンジ色の優しい灯りが、認知症への理解になるとうれしい」とは携わった担当者の言葉です。大和市立図書館では、認知症の本人や家族、ボランティア、市民らが参加交流し、何かを創り上げることで達成感を味わってもらえる活動をしていきたいと考えています。大和市とオレンジパートナー、認知症サポーターらがともに進む道を照らすような「ちいさなオレンジ色のライト」が3つの図書館で皆さんを待っています。   

※この件に関するお問い合わせ先は大和市立図書館・健康コーナー 電話046-263-0211

2021年9月21日記事公開(水越)

大和市立図書館提供

金ちゃん農園とオレンジパートナー   

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南足柄市提供写真

「(ボランティア活動に参加する人には)まずは何かをしようではなく、認知症の方が特別ではないと知るのが第一歩だと思う。場を共有し会話をして、これなら自分もできると感じてもらうことが一番」そう話すのは南足柄市高齢介護課の鳥居貴子さん。南足柄市では平成23年から認知症地域支援アクションミーティングをスタート。その中の4つのアクションの1つが「金ちゃん農園」チームだ。平成27年に始めた当初はスタッフに誰も農業経験者がおらず、プランターに苗を植える程度の活動だった。転機は平成28年、認知症だったご主人を亡くして以来、手入れをしていなかった畑を「お父さんが喜ぶから」と提供してくれた市民の方が現れてからだった。チームに農業経験者がいないので何を植えたらいいのか、雑草の処理などで悩んでいたところ、あるオレンジパートナーの方が参加してくれてオレンジパートナー仲間を誘うようになった。農業経験のないオレンジパートナーは農業を熟知している農家の人にも声をかけて、スタッフ、認知症の本人と家族、農家をはじめてとした地域の人たちのつなぎ役になった。活動が進むにつれてオレンジパートナーの方々からは「(認知症の)本人ともっと接したい」「地域の人々が(認知症の)本人と交流できる方法を考えたい」という声が聞かれるようになった。当初13名でスタートした金ちゃん農園メンバーは現在60名に増えている。コロナ禍で認知症カフェや集いの開催が限られる今、金ちゃん農園に出る人数は絞っているが、草むしりや収穫などの活動は続いている。長年認知症施策に関わってきた鳥居さんは「以前若年性認知症の方が赤ちゃんが来たことで表情が和んだ。すごくいいなと思った」と話す。今はコロナ禍で難しいが金ちゃん農園を認知症の方のみならず、子育て支援センターや障害児通園事業にも声をかけ、異世代交流のできる場所へと広げていきたいというのが鳥居さんの願いだ。             2021年9月7日記事公開(水越)

 「認知症を身近に考える」ショーウィンドー展(海老名市)

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海老名市提供写真

認知症の人やその家族に優しいまち「えびな」を目指す海老名市では、三井住友銀行海老名支店・駅前ショーウィンドーで6月11日10時まで『認知症を身近に考えるショーウィンドー展』を行っています。認知症豆知識、海老名市の認知症対策の紹介、主な認知症相談先など様々な情報が展示されています。掲示されているQRコードを読み取って認知症本人からのメッセージ動画を見ることもできます。2011年生まれの市のイメージキャラクター・えび~にゃが、周辺地域の皆様、オレンジパートナー・認知症サポーターの皆様の来場をお待ちしています。なお、展示の詳細ほか、海老名市の認知症施策全般に関する問い合わせは下記までお願いいたします。   2021年6月1日記事公開

【問い合わせ先】海老名市地域包括ケア推進課  

【電話】 046-235-4950     

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海老名市のイメージキャラクター「えび~にゃ」